~あらすじ~
廉頗は、輪虎の剣を手に信の元へ歩み寄ると、話をつけておこう、と言った。
信は、てっきり廉頗は自分を斬るつもりだと思っていたが、そうでは無かった。
廉頗は王騎将軍の矛を受け取ったことから、信を大将軍を目指す者であると見抜き、本当に自分たちと肩を並べるような大将軍になれると思うのか、と尋ねた。
これに対し信は、肩を並べるのではなく、自分は廉頗や王騎将軍たちを抜いて史上最強の天下の大将軍になるのだ、と言い放つ。
これを聞いた廉頗は笑い、信を気に入った様子である。
廉頗は続けて、信は自分たちを追い抜くことも肩を並べることもできない、と言う。
活躍した時代が違うため、比較のしようがないのだ。
しかし廉頗によれば、一つだけ方法があり、それは廉頗たちにも成し得なかった大業を成し遂げるというものであった。
すなわち中華統一のことである。
そして廉頗は輪虎の剣を信に渡すと兵を引き連れて去って行った。
~感想~
この段階ではまだ、政が中華統一を目指す大王であることはほとんど知られていませんから、中華統一は絵空事に聞こえるでしょう。
蒙恬も、あまりにも現実離れしている、と言っていましたが、そう思うのも当然です。
五百年も戦乱の世が続いていれば、普通の感覚であれば未来永劫、戦乱が続くと感じると思います。
廉頗は、中華統一を成すには凄まじい武の力と、それをふるう血の大業を受け止める器の王の存在が必要だと言っています。
これはまさに信と政のことではないですか!
この廉頗との会話で、信と政の道が完璧に重なりました。
この二人が中華統一を成し遂げた暁にはさぞかし廉頗も驚くでしょう。